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骨格筋は体重の約40%を占める生体内最大の臓器であり、異なるタイプの筋線維がモザイク状に分布している。
筋線維タイプは、収縮特性の違いから遅筋線維と速筋線維に大別される。
このうち遅筋は脂質代謝や耐糖能、筋持久力、ストレス耐性などにおいて高い優位性がある。
持久的運動の継続(トレーニング)は骨格筋の遅筋化を誘導し、それに伴い全身持久力の向上、さらに糖・脂質代謝が促進される。
一方、栄養不足や寝たきり・ギプス固定による不活動は、遅筋の脱落を主とする筋萎縮を誘導する。
最近、骨格筋と全身の代謝調節との関連性が明らかになってきており、例えば、骨格筋がマイオカインと呼ばれるホルモン様の物質を分泌して骨格筋以外の臓器の機能を調節することや、骨格筋が“うつ”の原因物質を分解してストレス性うつ抑制に関与することが報告されている。
当研究室では、運動や不活動による筋性状変化をリン脂質分子種に着目して解析している。
すなわち、リン脂質に結合している脂肪酸種の変化が筋機能維持にどのように貢献しているのか、リン脂質分子種が筋機能維持・改善策を開発する上における重要な標的となるか否か検討している。
同時に、筋機能に影響を及ぼす転写因子に着目し、筋機能を維持する物質の探索を行っている。
さらに、筋性状変化が他臓器機能に及ぼす影響についても解析し、運動や不活動による筋性状変化と疾病発症との関係を解明しようとしている。
糖質代謝と脂質代謝は密接に連関している。糖質の過剰摂取は肝臓でグリコーゲン貯蔵を増加させるだけでなく、脂肪酸および中性脂肪合成量を高め、脂肪肝や肥満、ひいては2型糖尿病や脂質異常症などのメタボリックシンドロームを引き起こす。
当研究室では、糖質や脂質の過剰摂取を反映するバイオマーカーを検索するとともに、肝臓や骨格筋における糖質、脂質代謝調節機序についても検討を行っている。
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【現在取り組んでいる研究テーマ】
1. 運動や不活動による筋線維特性変化の脂質生化学的解析 〜骨格筋のリポクオリティー〜
5. Glycerol-3-phosphate dehydrogenase (GPD)1の栄養素代謝における役割
【これまでの主な研究成果】
・アシル基転移酵素LPGAT1/LPLAT7による骨格筋の筋線維特異的なリン脂質クオリティー制御機構の解明
・炭水化物、脂質の摂取比率に応答する血中phosphatidylcholine分子の発見
・運動トレーニングによる骨格筋中リン脂質分子種の変化へのPGC-1αの関与
・Glycerol-3-phosphate dehydrogenase 1の役割
1.絶食時の糖新生への影響
2.運動持久力への影響
3.アルコール性脂肪肝発症への影響